腋臭症予防法
●耳アカが湿っている
外耳道には多くのアポクリン汗腺が分布しており、耳アカが湿りがちな人は、アポクリン汗腺の分泌が多いことと考えられます。
●家族にわきがの人がいる
わきがには常染色体優勢遺伝によってアポクリン汗腺の数などが左右されます。片親がわきがの場合は約50%、両親がわきがである場合は約75%の割合で遺伝するとも言われています。
●シャツが黄ばみやすい
黄ばみの原因は、アポクリン汗腺からの分泌液に含まれる脂肪やタンパク質、鉄分、色素などによるものです。そのため、黄色い汗染みができやすい人は、アポクリン汗腺の分泌量が多いと考えられます。
●ワキの下がやや茶色がかっている
以上のような傾向がありますが、この中の1つが当てはまるからといって、わきがであるというわけではありません。これらの項目が多ければわきがの可能性が高いということになります。
アポクリン汗腺も含めて、汗の分泌量が多いものを「多汗症」と言います。何ミリリットル以上、汗をかくから多汗症というものではなく、自覚的な要素の多い病名ということになります。しかし、緊張しやすい人や太っている人、甲状腺機能の亢進している人などにも多汗症は多く存在します。
多汗症はワキの下だけではなく、手足、顔といった場所にも起こります。代表的な症状として、ワキの下から汗が流れたり、ワキの下の黄ばみ、原色のブラウスなどを着た時にできる汗じみが気になるといったものが挙げられます。
特にワキの下は、身体と腕が閉じた状態が多く、汗をかきやすい場所の一つです。わきがと多汗症は、同一のものではなく、多汗症の人がすべて臭いが強いということではありません。
多汗症とは、手掌多汗症を意味することもあります。手掌多汗症は、手指末端から多量の発汗をする状態を言います。原因は不明で、交感神経ブロックが治療法(ボトックス注射)となります。
汗を分泌する腺には、エクリン汗腺とアポクリン汗腺という二種類の分泌腺があります。わきがとはそのうちアポクリン汗腺というのは、ワキの下、乳輪、陰部、外耳道、臍など、身体の決まったところにしかありません。
エクリン汗腺から出る汗の成分は、 99%の水分と1%の塩分ですが、アポクリン汗腺からは、タンパク質、糖類を始め、アンモニア、鉄分、蛍光物質、脂質、脂肪酸など、臭いの元となる物質が分泌されています。これは粘り気のある乳白色がかった液体で、この汗の成分が細菌などによって分解されて臭いを発するものが「わきが」なのです。
わきがは人種差が大きく、欧米人は約80%の人がわきが体質であるのに対し、日本人は約10%と非常に少なくなっています。
また、片親がわきがの場合は約50%、両親がわきがである場合は約75%の割合で遺伝するとも言われています。アポクリン汗腺の活動は、思春期の頃から始まり、熟年以降、老化で衰えるまで続きます。
腋窩部から腋臭臭、つまり、運動時などにかくエクリン腺からの汗の臭い(酸っぱい臭い、汗臭いと表現されることが多い)とは違う特有の臭いがする。その臭い自体は人やその時の環境などによって違いがあるため一概には表現できないが、ネギの臭い、鉛筆の臭いに喩えられることが多い。
この臭いはしばしば他人に不快感を及ぼすことがある(腋臭症における問題点を参照)。さらに、その腋臭臭の原因となる汗は衣服に黄色いしみを作り、汗が大量に出る多汗傾向を伴う。
腋臭症の女性の一部には、性器や乳輪からも腋臭臭を認められる場合がある。その症状はすそわきがと呼ばれる。腋臭症患者の大半は、それを過度に気にすることが多く、鬱病など併発する恐れがあり、現代社会では腋臭症を軽視することはできない。
診断方法には以下のものがある。
・切開によるアポクリン腺の確認。
・耳垢が湿っている。
耳垢が湿るのは、耳の中にあるアポクリン腺からの汗が原因である。耳の中にあるアポクリン腺は幼少の頃から発達しているので、腋臭臭が発生する思春期以前から確認できる。
・血族に腋臭症の人がいる。
腋臭症は優性遺伝する。片親が腋臭症であると子の約50%に、両親が腋臭症であると子の約80%に遺伝する。
・専門医の嗅覚による判断。
なお、実際には腋臭症ではないにも拘らず腋臭症と勝手に判断し、自己臭恐怖症に陥っている者が多く見られる。自分勝手に判断せず、形成外科、美容外科の専門医の診断を受けることが望ましい。また、自己臭恐怖症が疑われる場合は、精神科医の診断を仰ぐことも必要である。
●制汗剤
制汗剤は多くの薬局等で販売されている。これは、殺菌作用があるため、雑菌を殺し、汗などが分解されるのを軽減することにより臭いの発生も軽減させるものである。しかし、これは腋臭臭の原因であるアポクリン腺に直接作用する訳ではないので一時的に臭いの発生を抑えるものである。
といっても、これは腋臭症の軽度〜中度の人は制汗剤により臭いの発生を抑えられるので、その他の治療の危険性を考慮すると制汗剤による治療で十分である。なお塩化アルミニウムの配合された制汗剤の場合は、汗腺に対し直接作用するので汗そのものに対する効果も期待できるが、日本では塩化アルミニウム配合の制汗剤は主流ではなくあまり販売されていない。
●腋毛の処理
腋毛の処理をすることにより、腋に汗などを止めるのを防ぎ、汗などの分解量を軽減して腋臭臭も軽減出来る。脱毛に関しても同じ原理である。但し、腋毛の処理、脱毛も腋臭臭の原因であるアポクリン腺には直接作用する訳ではないので、腋臭臭の軽減が目的の場合に適切である。
また、制汗剤の治療と混合することにより効果は増す。只、腋の皮膚を傷めると制汗剤も使用できなくなる場合があるので、十分な注意が必要である。
●ボトックス注射
A型ボツリヌス毒素製剤(商品名ボトックス)を注入することにより、汗の分泌を促進させる神経伝達物質アセチルコリンを抑制させ、発汗自体を抑制させる。1回の注入で4ヵ月から6ヵ月間効果が持続する。
●剪除法
現在、最も一般的に行われている手術療法である。腋の皮膚の皺にあわせ、3センチから4センチほどの切開を1本ないし2本入れ、指で皮膚を裏返し、目で確認しながらはさみでアポクリン腺を切り取っていく方法である。
●吸引法
腋の上部を1センチほど切開し、脂肪吸引等に使うカニューレと呼ばれる器具を挿入してアポクリン腺を吸い出す手術療法である。これを改良したものに超音波吸引法がある。
●皮下組織削除法
ローラーとカミソリ刃がついたはさみのような器具を用いて行う手術療法である。腋の上部を1.5センチほど切開し、その部分から腋の下に器具を挿入、操作させることによって、アポクリン腺を削除する方法である。
●切除法
腋毛が生えている部分の皮膚を切り取る手術療法である。腋の皮膚部分を大きく切り取るため、運動障害の後遺症が残る可能性がある。
腋臭症に対する差別やいじめは年々増加している。それは行き過ぎた日本人の不潔恐怖が温床であるとされている。例に、いじめに値する人を傷つける言葉に「臭い」というものがある。
しかし、統計の項目でわかるように白人や黒人は腋臭症である人が、腋臭症ではない人を上回るので腋臭症が普通であり、腋臭症であることを気にする人はいないのである。現に、西洋で腋臭症の治療の大半が汗の量を抑えるのも目的としたものであり、日本のように臭いそのものをなくす目的の手術は行われない。
つまり、少数者に対する差別、いじめと考えられる。さらに、腋臭症に関する理解、知識のなさがその拍車をかけていると言える。本来人間の腋臭臭は、上記のよう異性を引き付けるためのものであったり、縄張りを主張するためのものとして機能していた。これは、動物などにも多くみられる機能である。しかし、人が文明を築く上で衰退し、一部残ったのが腋臭症であるといえよう。