3月5日0時0分配信 産経新聞
世界的な景気後退で、薄型テレビの価格破壊が進むなか、メーカー各社が新技術にプラスアルファの機能を加えた新機種の投入を加速させている。地上波デジタル放送の普及をにらんだ画質、音質の向上にとどまらず、アンテナ接続を不要にするという使いやすさや、消費電力を削減する省エネ機能なども追求。付加価値を高めることで、価格競争によって引き起こされた「薄型テレビ不況」からの脱却を図ろうとしている。
「アンテナに接続しなくてもハイビジョン画像が楽しめる。新しいテレビスタイルを提案したい」
パナソニックが4日、大阪市内で開いた新型テレビ「ビエラ」の説明会。開発担当者は新商品の特徴をこうアピールし、「世界初の機能にこだわった」と胸を張った。
全方位から電波を受信するアンテナとチューナーを据え置き型テレビで初めて内蔵。この技術によりアンテナ線がない場所でも視聴できる。画面サイズは持ち運びに便利な17型で、「1人に1台」のニーズを狙う。17型の通常型ビエラが7万5000円前後なのに対し、今回の新機種の参考価格は9万円。「付加価値によって高い価格でも勝負できると判断した」という。
「薄型テレビ不況」の背景には、世界的な景気後退の影響を受けた販売の減少と、過当競争に伴う販売単価の下落がある。メーカー各社は昨年まで年30~50%増の成長を見込み積極的に設備投資、強気で増産していたこともあだになった。
市場調査会社BCNによると、1月の液晶テレビの平均販売価格は前年同期比13%下落して9万7700円(税抜き)となり、初めて10万円の大台を割り込んだ。昨年12月の下落率は2・8%だったが、年が明けて一気に値崩れが進んだ。流通大手のイオンでは今月中旬から韓国メーカー製のDVD付き液晶テレビ(32型)を4万9800円で市場に投入する。
急速に進む価格破壊に、大手メーカーの開発担当者は「プラスアルファの機能がない、ただの薄型テレビでは値崩れを防ぐことはできない」と打ち明ける。
2日には、国内シェア3位のソニーも、電子決済ができる「Felica(フェリカ)」をリモコンに搭載するなどした液晶テレビ「ブラビア」の春モデルを発表した。4位の東芝も「倍速機能」を搭載した液晶テレビとしては、年間の消費電力量が従来比で最大29%削減できるという業界最小の省エネ商品を25日以降に発売する。
薄型テレビ不況で、首位のシャープも戦略の見直しを迫られている。同社も2月に発売した液晶テレビ「アクオス」の新モデルでは、業界トップの省エネ機能を搭載した。今後、環境負荷に関心の高い消費者層にアピールしていく。
「消費者の目は厳しくなっている。価格に見合った性能がないとなかなか買ってもらえない」と、同社関係者は危機感を募らせる。





