日刊ゲンダイより
気をつけることは意外に多い
インフルエンザの院内集団感染が相次いでいる。東京・町田市の病院では入院患者と病院関係者100人以上が感染し、うち3人が死亡。茨城県でも18人が感染し1人が死亡した。
できるならこの時季、病院には行きたくないが、持病などの治療のため、行かざるを得ないケースもある。では、病院でのインフルエンザ感染リスクを減らすにはどうすればいいのか? 感染症制御医(ICD)で、村田博愛病院副院長の吉國友和氏に聞いた。
●服装とマスク選びのポイント インフルエンザウイルスが皮膚に付着しないよう、病院の待合室ではできるだけ皮膚をさらさないことだ。 「マスク、手袋、マフラーは必需品で、待合室でもつけたままにする。セーターを着ているならコートは着たままにしましょう。セーターは静電気でインフルエンザウイルスが付着しやすいのです。マスクはガーゼマスク、サージカルマスク(不織布製)、N95マスクの3種類ありますが、N95マスクを使うこと。インフルエンザの主な感染経路はせきやくしゃみに含まれるウイルスでうつる“飛沫(ひまつ)感染”と“空気感染”があります。この2つともブロックするのはN95マスクだからです」
●通院前にすること
「前もってトイレは済ませておきましょう。病院のトイレはこまめに清掃していますが、この時季は大勢のインフルエンザ患者さんが使用し、ドアノブなどにウイルスが付着している危険があります。もうひとつ、水分は十分とっておくこと。のどの粘膜の表面には上皮線毛があり、付着した病原菌を体外に運び出す作用があります。水分が不足すると、この働きが鈍るのです」
●どこで待つか
せき込んでいる人から2メートル以上離れて座る。
「インフルエンザに感染している人は、1回のせきやくしゃみで約10万~200万個のウイルスを放出します。これに水分やほこりが付着したのが飛沫で、2メートル以上離れないと危険です。総合病院なら、インフルエンザの患者さんが多い内科の待合室から離れて座るのが無難です」
加湿器のそばに座るのも手だ。
「湿気があれば空気感染のリスクが低くなります。空調の近くや出入り口付近は逆に床に落ちたウイルスが舞い上がり、感染の可能性がある。避けましょう」
イスにも要注意だ。静電気が発生しウイルスが付きやすいソファやクッションのあるものは避け、木やプラスチック製を選ぶ。
●待合室でしてはいけないこと
「待合室に置かれている新聞や雑誌などには、手を出さない。手すりなども極力触らないように心がけましょう。インフルエンザ患者の飛沫が付着していて、感染の恐れがあります」
●家に帰ってすること
家に入る前に、マスクははずしてゴミ箱に捨て、手袋、マフラー、外套(がいとう)を脱ぐ。
「私は、家に入る前にアルコール性の殺菌スプレーを吹きかけるよう努めています。服についたウイルスを飛散させないためです。手洗い、うがい、洗顔は念入りに行います。できたらそのままお風呂に入るか、シャワーを浴びるといいでしょう。水分補給も大切です」
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