日刊ゲンダイ
「口が臭い」と指摘されたことがある中高年は多いのではないか?歯周病や虫歯が口臭のもとになっている場合もあるが、実は意外なことが原因になっていることがあるのだ。
口臭治療の第一人者「ほんだ歯科」(大阪)の本田俊一院長に聞いた。
「本人は自覚していないが周囲は気付いている場合、全身疾患が関係した口臭が考えられます」
Tさん(52歳)は妻と娘から「口が臭い!」としょっちゅう責められていたが、本人は特に気にしていなかった。
忙しさを理由に健康診断を長く受けていなかったTさんが、昨年末に人間ドックを受けた。そこで糖尿病だと分かった。医師に「家族から口臭がすると嫌がられていた」と話すと、「糖尿病と関係している可能性がある」と言われた。
「何らかの原因でインスリンの分泌が低下すると、血液中のブドウ糖を細胞内に取り入れられず高血糖状態になります。これが糖尿病です。それによってブドウ糖が不足するので、代わりに脂肪からアセトン体というものを出し、エネルギーを生み出そうとするのですが、慢性化すると、血液中のアセトン体濃度が高くなり、息が甘酸っぱいアセトン臭になるのです。毛穴からもアセトン臭が出るので、体全体がこのニオイになる」
糖尿病は免疫力を下げ、歯周病を進行させる。それも口臭原因になる。
「さらに、肝臓、胃腸、腎臓、呼吸器系の病気も、口臭と関係しています。また、これは本人が自覚しているケースですが、副鼻腔(びくう)炎や咽頭(いんとう)炎など耳鼻咽喉(いんこう)科の病気によって、口臭が強くなっていることもあります。鼻や喉の炎症でニオイが発生し、それが口に伝わってきているのです」