ファンドマネージャーが語る“投資のコツ”
吉村さん(以下敬称略):
ところで普段はどんなことをしているのですか?
秋山ファンドマネージャー(以下、秋山FM):
企業を取材していることが多いですよね。対象が世界なので、時間は本当にバラバラ。朝8時ぐらいからアメリカの企業と電話で会議をして、昼ぐらいにオーストラリア、午後はアジア、5時ぐらいからロンドンが動き出す、といった具合です。
実際に訪問することもありますが、取材対象となる企業が300~400社ぐらいあるので、電話会議やビデオ会議も大いに活用しています。
吉村:
300~400社って、すごいですね!そんなにたくさん見ることができるんですか?
秋山FM:
私のチームには3人いて、主に先進国の株式市場を見ています。本来なら約3万社が対象となるのですが、過去の経営実績で抽出すると、だいたい300~400社が残りますね。業績が安定している会社を重点的に見ているので、大きな業績の変化があった時に見直せばいいという感じです。
さらに海外拠点に、外国株の調査運用をしているメンバーとして、アナリストが17人、ポートフォリオマネージャーが11人います。彼らとも連携することで、多くの企業をカバーすることができます。
住田:
うちの会社は、1976年にニューヨーク事務所を開設したり、早くからグローバルでの運用体制を作ってきています。ニューヨーク、ロンドン、シンガポール、香港、シドニーにも拠点があるんです。
“調査資料だけ”の状態にならないよう、グローバルな運用体制がつくられています。
吉村:
大勢の方が関わっているんですね。海外株式を見るのは、地理的に離れているだけに、やはり大変なのでしょうね。
秋山FM:
そうですね。調査資料だけに頼らないようにとは心がけています。その会社が業務展開している地域にはどんな文化があるのか、現地の人にどんな評価を受けている企業なのか、なども重要です。
たまたま私は、海外で生活した経験は多かったんですよ。旅行で訪れるのと、実際に生活するのでは、印象が違いますよね。一応、欧、米、アジアに住んだ経験がありますので、その生活実感を運用にも活かせればとは考えています。
吉村:
ファンドマネージャーの仕事の面白さって何ですか?
秋山FM:
日々新たな発見があることはもちろんのこと、企業の経営層と直接話せるのが面白いですね。マスコミを経由しない、ナマの情報が得られます。「良い会社にしていきたい」という想いがダイレクトに伝わってきます。
取材の時は、世の中の話題についても話しますよ。例えばフランスで学生デモがありましたよね。実は日本のマスコミが語るのと、現地の企業の経営者が語るのでは、全然見方が違います。
AllAboutから引用
投資のコツを知って、投資信託と良いおつきあいを!
吉村:
投資に挑戦したいと思っている方にアドバイスはありますか?
秋山FM:
どういった目的で投資をしたいのか、一度整理することをお勧めしたいですね。そのためにはライフプランを考えることは大事でしょう。どういう人生を生きたいのか、何をしたいのか、それによって投資のスタイルが変わってきます。
吉村:
ライフプランを考えるという話は、よく出てきますよね。でもなかなか具体的にならないんですよ。
秋山FM:
何がしたいのかがはっきりしない方は、希望をすべて紙に書き出してみることをお勧めします。「旅行したい」「引っ越したい」など、小さなことから大きなことまで、全部書いてみるのです。
それを眺めていると、「これは別にどうでもいいな」という項目が出てきます。消してもいい項目は消してしまいます。最後に残ったものが、本当に望んでいることのはずです。
方向性が決まったら、いつまでにどれをしたいか、時期を決めます。そこまで決まれば、それに合う投資方法を探していけばいいのです。
吉村:
なるほど。まず、自分の望みをはっきりさせることが大切なんですよね。
秋山FM:
そうです。希望がはっきりすれば、商品について調べていきます。投資信託なら目論見書に運用目的やリスクについての説明が書いてあります。それを確認して選ぶといいでしょう。そして自分にぴったりの商品が見つかったら、長期間保有しましょう。
吉村:
投資を成功させる秘訣って、何だと思いますか?
投資も人生も同じ、山あり谷あり。成功させるには忍耐が大切。
秋山FM:
忍耐力です。どんな商品でも、良いときと悪いときがあります。プロでさえ、いつどんな流れになるか分かりません。悪いときでも、どれだけ冷静でいられるか。期待する成果が得られるまで待っていられるか。それが大事です。
入社したての時、研修のために証券会社の支店にいたことがあります。その時に残念に思ったのは、ファンドの成績が良くなると、皆さん売ってしまわれることです。本来ならもったいないことです。良い商品なら長く持てばいいはずなのですから。
特に株式ファンドは長期保有するほどメリットを得やすくなります。私が手がけた「世界好配当株投信」や「グローバル・ハイインカム-」で言えば、当初は利回りだけで比較すると、もっと有利な海外債券が見つかるでしょう。ただし堅実な企業ばかりに投資していますから、全体として業績成長が見込めます。利益の伸びとともに、配当も増えていくと予想できます。そのメリットを得るには、ある程度の期間が必要なのです。
住田:
でもなかなか長期投資を実践するのは、難しい面がありますよね。そのために、投資信託の分配金を、安心感として受け取ってもらえれば、長期に投資することができるのではないでしょうか。
吉村:
なるほど。長期投資することを考えて商品を選ぼうと思います。ありがとうございました。
AllAboutから引用