11年ぶりに保険料が大幅改定。今が入り時?
新聞等でも報道されているとおり、この春、「生保標準生命表」が改定され、生命保険の保険料が変わります。
生命保険会社には、将来の保険金の支払いに備える「責任準備金の積立」が義務付けられています。原則的に、生命保険の保険料率は、金融庁による事前認可が必要ですが、価格競争による不当な保険料引き下げが行われ、結果的に保険会社が破綻して、契約者に不利益を与えないように防止する目的で、責任準備金の積立を義務付けています。
その際に用いる予定死亡率の算出基準となるのが「標準生命表」です。各保険会社は保険料算出の際に、この標準生命表を使用する義務はありませんが、責任準備金の積立に当たっては、標準生命表を基準にしなければなりません。そのため、実際の保険料設定では、同じ保障内容の保険であれば、各社ともほとんど差がないのが現実です。
現行の「標準生命表」は1996年に作られたもので、11年ぶりの改定となります。医療技術の発達なども手伝って、日本人の寿命も長くなりました。それを反映させるための改定です。
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改定でどんな影響があるの?
寿命が伸びたということは、死亡率が低くなったということです。死亡率が低くなれば、保険会社側からすると、当然ながら保険金の支払いも少なくなるので、集める保険料も少なくてよいことになります。ですから、死亡保険については保険料が安くなることが想定されます。
しかし、逆に、死亡率が低くなれば、終身年金保険・医療保険・ガン保険などについては、支払う可能性が高まるので、それに備えて高めの保険料を設定しなければならなくなるわけです。
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死亡保険は安くなる!?
死亡保障の商品については、2月から保険料を引き下げた会社もありますが、ほとんどが4月からの引き下げ予定のようです。何社かがすでにホームページ上で具体的な引き下げ額を発表しています。
掛け捨ての定期保険では、当然、保険料は安くなっており、年齢によって違いはあるものの、10%程度は下がります。終身保険は、死亡率よりも予定利率(保険会社の予定運用利率)の影響が大きい(人間はいつか必ず亡くなるので、必ず保険金支払いは発生する)ので、2%程度の微減といったところです。
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医療保険・ガン保険は高くなる!?
医療保障・ガン保障の商品については、現在、終身タイプの保険が主流です。平均寿命が延びれば、契約者全体では入院したりガンになったりするリスクが高くなるので、保険会社側からすれば、より多くの保険料を集めなければなりません。
ガン保険の最大手が公表した数値や、業界内の推測を考え合わせると、医療保険・ガン保険の保険料は以下のように変わると考えられます。
●終身払い終身の医療保険は、ほぼ現行どおり据え置き
●短期払い終身(60歳払い済みの終身保障など)は、やや引き上げ
●ガン保険は引き上げ(A社は10%前後の引き上げ)
予定死亡率の変更は、保険料を引き上げる要因になりますが、入院日数の短縮化などの引き下げ要因もあるため、医療保険の保険料引き上げは、それほどでもないようです。ただし、一定年齢までに保険料を払い終えて終身保障を確保する「短期払い終身タイプ」の場合は、実質的に保障期間が長くなることから保険料は高くなります。
ガン保険については、医療技術の発達が保険料引き上げの要因にもなっていると考えられます。ガンでの入院日数も短期化、もしくは通院のみでの治療も行われるようになってきましたが、ガンを発見する診療技術が高くなったことにより、ガン治療後の生存率が高くなってきました。
それゆえに、ガンが再発することで結果的に支払金額が多くなるリスクが高くなったことや、ガン診断給付金の複数回払い(「ガンに備える生命保険2」参照)の支払金額が多くなることも予想されます。ガンが克服できる病気になりつつあることから、保険金・給付金の支払い金額が増え、結果的に保険料が高くなるということになります。
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各社一斉に保険料を変更するの?
すでに死亡保険の保険料引き下げを実施している会社もありますが、他の保険会社も4月には死亡保障商品の保険料を変更することが予想されます。
逆に、医療保険・ガン保険などについては、しばらく様子を見る保険会社もあるようです。各社の戦略によっては、医療保険の保険料を据え置きのままにするところもあるかもしれません。また、値下げについてはともかく、保険料の値上げについては、発表から実施まで期間を置くことも予想されます(すでに公表しているA社も、死亡保険の保険料変更は4月ですが、医療保険・ガン保険の保険料変更については9月からとしています)。
しかし、すでに医療保険・ガン保険の保険料引き上げを発表している会社があるので、保険料が安い今のうちに検討する方がよいとも考えられます。検討する対象商品が多い方が、自分に合った保険を選ぶためにはよいですからね。もちろん、年齢が若い方が安い保険料で保障を準備できますし、いつ何が起こるかわからないという意味からも早い方がよいでしょう。
一度加入した保険は解約するまで契約内容は変わりません。毎月の保険料が数%違うだけで、結果的には数十万円の違いになります。終身タイプの医療保険・ガン保険を検討するなら、今の時期がよいのかも知れません。
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