保険料を払い忘れたら保険はなくなるの?
生命保険契約は、10年・20年・30年と長期間にわたるものなので、時には保険料の支払いを、うっかり忘れてしまうこともあるでしょう。そして、一定期間内に保険料の払い込みがないと、保険契約は失効してしまいます。
失効とは文字通り「効力を失う」という意味なので、今まで有効に継続されてきた保険契約の効力がなくなり、保障がなくなるということです。では、どのような場合に保険契約が失効して、また、その保険を復活させることはできるのか、確認しておきましょう。
AllAbout引用
保険料には払い込み猶予期間がある
私たちが生命保険を契約すると、月払い、半年払い、年払い、というように決められた日に保険料を支払い続けることになります。そして、この決められた日から一定の猶予期間を経過してもなお保険料の支払いがない場合は、契約上、その保険は失効することになります。猶予期間は以下のようになります。
●月払いの場合……保険料を払い込むべき日が属する月の、翌月末日まで。
●半年払い・年払いの場合……保険料を払い込むべき日が属する月の、翌々月の月単位の契約応当日まで。ただし、契約応当日が2月・6月・11月の末日の場合には、それぞれ4月・8月・1月の末日まで(一部の保険商品では猶予期間が違う場合もあります)。
月払いで口座引き落としにする人が一番多いのですが、残高不足などで1か月分の保険料引き落としができなかった場合には、翌月に2か月分の保険料が引き落とされます。その際、翌月にも引き落としができず、末日までに保険料の支払いをしなかった場合、その保険契約は失効することになります。
引き落とし日を毎月27日としている保険会社がほとんどですが、口座から引き落としができたかどうかの連絡を保険会社が受けるのに3日~1週間程度かかります。つまり、銀行に対して2か月分の引き落とし請求をし、それができなかった場合、保険会社がその事実を確認できるのは、失効の猶予期間が過ぎた後になります。
一度引き落としができずに2か月分の引き落としがされる月には、必ず口座残高に不足がないよう契約者本人が気をつけておかないと、取り返しがつきません。もし、引き落とし日に口座への入金が間に合わなかった場合には、自分から保険会社の窓口に支払いに行くなどしなければなりませんので、気をつけましょう。
※契約応当日……契約日に応当する、年単位・半年単位・月単位の日のこと。例えば契約日が4月10日であれば、毎月10日が月単位の契約応当日になります。
自動的に保険料を立て替えてくれる制度がある
終身保険や養老保険など、貯蓄性の高い保険では、「自動振替貸付」の制度が使える場合があります。保険料の払い込みがなかった場合、その時点の解約返戻金の一定限度の範囲内で、自動的に貸付をしてくれて保険料の支払いに充当する制度です。
ただし、あくまでも貸付ですから、借りている期間に対して利息がつきます。また、貸付金額と利息の合計額が解約返戻金の一定限度を超えると貸付できなくなることから、そのままにしておくと最終的には保険料に充当するお金がなくなり、失効することになります。
また、解約返戻金がないか、非常に少ないような保険種類では、この自動振替貸付の制度はありませんので、注意してください。
失効してしまったらどうすればいいの?
保険料払い込みの猶予期間が過ぎてしまい、自動振替貸付が適用されない場合には、保険契約は失効してしまうことになります。失効すると、その時点から保障がなくなってしまいます。失効している期間に、入院をしたり、亡くなってしまった場合には、保険金・給付金を請求する権利はありません。
失効してしまった保険契約を元の契約の状態に戻す方法があります。「復活」といいます。しかし、その際にはいくつかの条件があるので確認しておきましょう。
■失効から一定期間経過すると復活はできなくなる
保険会社も失効してからいつまでも復活を認めてくれるのではありません。保険会社や保険商品によって異なりますが、原則的には失効の日から3年以内(保険商品によっては3ヶ月くらいの場合もある)に復活の手続きをしなければなりません。
■新たに告知をする必要がある
実際に復活を申し出る場合、再び健康状態について告知をする必要があります。告知すべき内容は、基本的に新しい契約をするときと同じです。つまり、その時点での健康状態によっては復活ができなくなります。
■失効期間の保険料の支払が必要
復活をする際はその失効期間中および猶予期間中に該当する保険料を支払う必要があります。また、その保険料には所定の利息がかかる場合があります。
このように、一定の条件をクリアしないと契約を復活することができないのですが、復活すると、元の契約の保険料・予定利率で契約を継続することができるので、新たに同種の保険に入るよりも有利な条件で保障を確保できることになる場合がほとんどです。
しかし、保険加入後、健康状態が悪くなってしまっていた場合には、その契約を失効させてしまうと、その後の保障がまったくなくなってしまうような事態になることも考えられます。保険会社側も、失効しないように注意を促してくれますが、本人の責任で保険料の支払い状況を管理しなければいけません。特に、健康に不安のある人は、「失効」させないように細心の注意が必要です。
保険料の未納ってどんな場合?
保険料の支払いについては月払い、半年払い、年払いなどいくつの種類があり、さらに口座振替・集金扱い・団体扱いなどの支払い方法があります。
・口座振替扱……口座から自動的に引き落とす方法
・集金扱い……保険会社の社員が自宅や会社に集金にくる方法
・団体扱い……勤務先などの団体で給与から天引きする方法
・送金扱い……銀行などの金融機関から保険会社の口座に振り込む方法
現在では、口座振替で保険料を支払う人がほとんどですが、保険料未納で失効の可能性が発生してくるのは、口座の残高不足が原因で引き落としができない場合がほとんどです。保険料の引き落とし口座は、生活口座(給料の振込みや光熱費等の引き落とし口座)にすべきですが、それでも、勤務先の給料日が25日ではない人などが、ついうっかりしてしまうこともあるようです。また、年払いや半年払いの場合にも、口座への入金を忘れることもあるようです。
うっかりミスだけでなく、意外に多いのが、お金を管理していた本人が入院したことにより、口座への入金ができていない場合です。家族が気付いて、きちんと入金できればよいのですが、誰も知らずに入院が長引いてしまったときなど、保険が失効してしまっているケースがあります。
その入院自体は、契約が有効であるうちに発生していますので、給付金の請求権があるからよいのですが、このようなケースで、一度失効してしまうと、健康状態により、契約を復活させることができなくなってしまう場合がほとんどです。また、入院中に失効してしまい、そのまま亡くなってしまった場合、入院給付金の請求権はあっても、死亡保険金の請求権はありません(失効した後の死亡であるため)。同居する家族の保険は、お互いにわかるようにしておきましょう。
日々の家計(お金)の管理の観点からも保険料の支払い方法などをチェックしておくことが大切です。そして、自分に合った支払い方法に変更することも忘れずに。